第186夜:津軽こけしの源流を求めて(今晃3)
ヤフオクで出品作を見た時には、先ずそのコケティシュな表情に惹かれた。よく見ると鼻の位置が真ん中でなく向かってやや左よりに寄っているのである。今さんの他のこけしを見てみてもそうはなっていないので癖ではない。たまたまそうなったのであろう。そのため面白い出来のこけしとなっている。送られてきた来たこけしは保存状態完璧。緑と紫のロクロ線が鮮明で、赤い帯が黄胴に映えて眩しいほど。禰宜町時代のこけし(写真左)と並べてみた。形態的には胴が短く太くなってややずんぐりした形。金属団地時代の作が『二枚目』なら禰宜町時代は『二枚目半』、そして本稿のこけしは『三枚目』と言っても良いだろう。両目の位置は顔全体から見て適切な位置にあるので、鼻と口だけが左にズレていることになる。ベロ(舌)を出したような口も表情をより愛嬌のあるものにしている。『嶽』時代の今さんはこの金次郎型や辰雄型の他にも伊太郎型や島津型などにも挑戦して、まさに津軽こけしの源流に迫るような一種怪異的なこけしも作り出している。やがてそれらが一段落した頃から、今さんのこけしは津軽こけしの源流からやや離れて「今晃の世界」に移っていったように思われる。
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