第198夜:ピーク期とその周辺のこけし(清次郎)
入手したこけしは「こけし写譜(第1集)」掲載の⑮尺7分(昭和14年頃:都築蔵品)の写しであり、底に「昭和48年9月9日」の記入がある。実は民芸店「おおき」で入手した同時期の同型こけしを持っていたのであるが、保存状態が悪くなってしまったので良いものを1本狙っていた。今回落札したこけしは出品写真で見て想像していた以上に保存状態は良く、朴の木に滲んだ黄緑色と赤の描彩が美しい。このこけしは「木の花(第7号)」の<戦後の佳作>⑦に取り上げられている。「木の花」掲載品は昭和49年作と解説されているが、49年より清次郎さんのこけしは、あの『写楽』の影響を受けて面相がきつくなってくるので、49年でも早い時期のものと思われる。その後、この型のこけしを清次郎さんは木地を替えたりして何回も作っているが、この時期の作を上回るものは出来なかったようだ。「木の花」の北村氏の解説を引用させて頂く。『この表情の写真を見ての通り、<写真A(昭和39年作を指す)>の作と相通じる優しい眼差しである。大寸物の割に小さな頭も気にならない均衡を保っている。力強い色調、胴模様の滲みは、やや意識を感じるが、年を経れば落ち着いてこよう。今を盛りと咲き誇る紅花が風にそよいでいる。清次郎の作の中の最大級の快作であろう。』
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