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第208夜:こけしの本(新刊)

Book_hyoshi 久し振りに本格的なこけしの本が発刊されたので、今夜はそれを紹介しよう。書名は「伝統工芸 東北のこけし」。著者は高井佐寿氏(名古屋こけし会、伊勢こけし会会員)、発行所は(株)光芸出版である。戦後のこけしを主体として897人もの工人のこけしが載っており、中には初めて聞くような工人もいる。こけし工人とこけしの索引(ガイド)としても使える便利な本(写真集)でもある。定価は本体5,000円(+税)である。

Book_naiyo1 私がこけし収集を始めた昭和40年代の後半頃には書店に行くと何冊かのこけしの本が陳列されていたものである。私が最初に買ったのは「こけし 美と系譜」で980円であった。その後、こけしブームに乗ってこけし関係の本も各種発刊されたが、やがて数万円もする著名コレクションの豪華なこけし写真集も発刊されて、こけしバブルの感を呈するようになっていった。世の中のバブルの崩壊に伴いさしものこけしブームも終焉を迎え、いつの間にかこけし関連の本も書店から姿を消してしまったのである。

Book_naiyo2 こけし本の集大成と言われる「こけし辞典」には、その発刊時点までの殆どの工人とそのこけしが掲載されていたが、それ以降の工人、こけしに関してはガイドブックは発刊されたものの、全てを網羅されたものではなかった。今回の「東北のこけし」は戦後のこけしの殆どが網羅的に掲載されているのが一番の特徴である。その掲載工人数は実に897人(一部戦前工人を含む)。網羅的な写真集のため、掲載こけしは1工人当たり1、2本であるが、佐藤文吉などは19本と断トツに多く、著者の好みを垣間見る気がする。

ごく一部を除いて名品というようなこけしは見受けられず、また各工人の代表作が載っている訳でもない。「こけし辞典」以降のこけしを全て網羅した写真集にしようという著者の並々ならぬ意欲が漲っており、「戦後のこけしなら全て載っている」という点で大いに評価出来る本である。

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コメント

情報有り難う御座います、早速購入しました。写真だけでなく、工人の名簿も載っていて、大変参考になりますね。

投稿: | 2008年8月 5日 (火) 22時09分

コメント、ありがとうございます。最近はこけし関係の出版が少ないだけに貴重な本だと思います。ご参考になれば幸いです。

投稿: 筆者 | 2008年8月 6日 (水) 08時20分

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