第205夜:こけし談話会(円吉一家2)
写真②は円吉、治郎、昇治の梅こけしである。右端は円吉(S14頃)作である。最初に円吉が作った梅こけしは大野栄治のこけしを参考にしたもので、胴模様の梅花が胸部に1輪、胴部に2輪描かれている。目は切れ長の三日月目である。右から2本目は治郎作(S37年頃)で円吉型梅こけしを始めた頃の作。木地形態、胴模様など右隣の円吉作にそっくりで、これをモデルにして作ったことが窺われる。但し、目は三日月目ではなく治郎の癖が出ている。右から3本目はS40年の治郎作。先ず木地形態で胴の括れ部が角張ってきたのが分かる。また胴模様の梅の花弁が丸くなく角張っている。4本目は昇治作。昇治さんはS41年頃から円吉型を作り始めたとのことであるが、これはその当時の作。木地形態、面描、胴模様など右隣の治郎作にそっくりで、昇治さんの初期の梅こけしが治郎型円吉梅こけしであることが分かるのである。唯一の違いは梅の枝の色で、治郎さんは緑で枝を描いた上に黒を重ねているが、昇治さんは緑だけである。どうしてなのであろうか? 左から2本目は44年頃の昇治作。治郎型から脱却して、真の円吉型を目指し始めた頃の作である。胴の括れも丸みを帯びて右端や右から2番目に近くなっている。目は切れ長の三日月目で初期の円吉を目指していることが分かる。梅の花弁も丸くなったが、何故か枝は緑のままである。左端は私が始めて入手した昇治さんのこけし(S47末)。これ以降昇治さんのこけし(特に梅こけし)にのめり込む発端となった思い出のこけしである。
次に、標準型の円吉こけしの伝承を見てみよう。残念ながら、治郎作でこの範疇に入るこけしは見当たらなかった。写真③、右端はS12頃の円吉こけし。やや太めの胴にぼってりとした菊を4段に重ねている。涼しげな切れ長の目が素晴らしい。右から2本目はS17年作。前髪、頭頂の放射状のかせ、鬢飾りが中央に寄ってきて、顔の面積が小さくなり目もちまちましたものとなってしまった。おおらかな表情が消えてしまったのが残念である。右から3本目は昇治作。S45年の初挽きとの署名がある。見て分かるように昇治さんが目指していたのは初期(S12年頃)の円吉こけしである。左から2本目はS46年作。初期円吉の涼しげな切れ長の三日月目を見事に描いている。美しいこけしである。この頃が初期円吉型ではピークと言って良いのではなかろうか。左端はS47年作。目がやや下がって、コケティッシュな雰囲気を持っている。これも捨てがたい魅力のあるこけしである。S47年の末頃から味わいがやや薄くなり、その後は目の湾曲が大きい後期の円吉型を目指すと共にレパートリーも広がっていく。その辺りの変化は別に機会に紹介したいと思う。
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