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第220夜:打ち出の小槌

Abemasa_kozuti_kao さて、これも先日のS氏からの借り物。細工物の極致を目指したような木地玩具を今夜は紹介しよう。作者は山形系の阿部正義さん。「たつみ」で5個頒布されたものの内の1つだと言う。小槌の蓋の裏に「S56.7 たつみ」との書き込みがある。27年も前のものなのに蓋の嵌り具合には微塵の狂いもない。正義さんの木地技術の凄さをまざまざと見せつける。みちのくこけしまつりの会場では、説明係として元気な姿を見せていた。

Abemasa_kozuti_naka_3 実はこれとほぼ同様の作品が「山形のこけし」の28頁に載っている。この「打ち出の小槌」の本体は親子達磨の頭部、中をくり抜いた胴部、笛にもなっている取手の3パーツから成っていて、それぞれが外れるようになっている。だるまの頭がはめこみ式で、胴部に取り付けるとくるくると回る。親達磨の頭に乗った子達磨の表情も秀逸である。取手は下半分に達磨を上半分は細かいロクロ線を引いている。この部分、「山形のこけし」では花模様が描かれている。

Abemasa_kozuti_3 さて、見世物は樽状の胴部に中に入っている。まず小えじこが1個。このえじこも子持ちになっていて、中には紅白の達磨が5個、独楽2個、顔を描いた円板が2枚入っている。その他には1寸6分のこけし3本、1寸1分のこけし3本、7分のこけし2本。さらに1寸のガラス瓶があり、その中には虫めがねで見なければ分からないような、こけし、だるま、こまがたくさん入っている。もう1つ、1寸3分の細長い茶色のガラス瓶があるが、こちらは中身が無くなっている。「よくぞここまで!」と、ただただその精巧さに目を見張るばかりである。

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