第215夜:稲毛さんの鯖湖こけし(2)
稲毛さんの師匠の喜平さんは戦前からこけしを作っており、特に戦前のこけしは大らかな表情が魅力的であった。本ブログでは第81夜で小寸ながら戦前の作を、また第130夜では戦後20年代から30年代のこけしを紹介した。その後、喜平さんのこけしはきっちりとした硬筆なものへと変化していく。写真(2)は稲毛さんのこけしであるが、左が当時(昭和40年代)喜平さんの作ってこけしを忠実に継いだものである。さて、今回のこけし(右)であるが、胴底には「50.11.17」の書き込みがある。これは入手時と思われるので製作時期はもう少し遡るのかも知れない。最初にヤフオクでこのこけしを見た時に、その表情の鋭さに驚いた。目が中央に寄り、目尻が吊り上っている。集中力の強い視線はしっかりと前を見つめている。楷書体の特徴的な前髪から、これが喜平型であることは直ぐに分かったが強く印象に残り、入札に参加した。たまたまなのか意識的に描いたのかは分からないが、同様の表情のこけしは見かけないことから、あまり沢山は作らなかったのであろう。稲毛さんというと、やはりキン型で、喜平型には殆ど関心を持っていなかったが、中にはこのようなこけしもあるということで紹介してみた次第である。
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