第223夜:ヤフオクの拾いもの
土湯系の佐藤久弥さんは昭和10年の生まれ。佐藤佐志馬さんの婿養子となり、38年より木地修行を始めた。こけしの製作は41年からで、43年5月には鹿間時夫氏の勧めにより粂松型に挑戦し、アヤメ模様入り巨頭の良作をものにし将来を嘱目されたと「こけし辞典」に記載されている。「こけし辞典」には43年5月、6月、9月と45年1月のこけしが写真紹介されている。鹿間氏の解説は「44年後半より一転して両鬢が長く前髪の両端目に達し、前髪と眉毛と接近、カセも長く垂れてしまって暑苦しく濃厚になった。胴も太くなったのは佐志馬の影響かも知れない。」と続く。
さて、本作を見てみよう。胴底には「45.2.23」の鉛筆書きがある。入手日なのであろう。全体的な特徴は鹿間氏の解説通りであるが、45年1月の掲載写真と比べると頭は横広きみで43年9月作に近い点も見られる。従って44年後半の作と見て良いであろう。大きく見開いたような瞳には集中力があり、中央部にアヤメ模様を配したロクロ線の色調も心地よい。久弥さんのこけしはその後、義父の佐志馬型が中心となる。従って粂松型と言える作はそれ程多くはないと思われる。このこけしは「こけし辞典」の解説を読んでいたので注目したが、そうでなければ見過ごしていたかも知れない。思わぬ拾いものであった。
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