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第236夜:初期作の味わい(9)

Toshihiko_s60_kao 現在、東京こけし友の会の例会では、中古品の頒布は恒例のこととなっている。14日の例会でも状態の良いものがかなり出品されていた。会の頒布の順番は、受付で貰った番号札の末尾0~9によって決められる。この日は1巡目に当たっていた。事前に眺めていた時には目星を付けていたものは特に無かったが、折角の幸運なので2本のこけしを手に取った。福寿さんの勘治型8寸(52年作で保存ほぼ完璧)と息子の寿彦さんの普通型8寸である。福寿さんの勘治型は既に同型のものを持っていたが、52年作は注目すべきものなのでまた入手してしまった。さて、今夜の本論は寿彦さんのこけしの方である。

Toshihiko_s60_hikaku 「高勘」のこけしが好きな私にとって、この寿彦こけしは気になるこけしではあった。手慣れていない描彩から初期のものと推測されたからである。値付けは福寿こけしより高く、担当幹事の眼力には敬意を表したい。(実際には、本数が少ないということだったようであるが) 福寿さんの次男である寿彦さんは、今は転業してしまっており、こけしは作っていない。昭和60年代、毎年のように福寿さんを訪ねていたのに、寿彦さんが正式にはいつからこけしを作り始めたのか私ははっきり知らないのである。(勿論、今、寿彦さんに聞けば済むことなのであるが、転業していることもありその機会を得ないままになっている)早速、書物などで調べてみたが、昭和60年9月の鳴子こけし祭りでは相当数を作っていることが分かった(写真②の左2本は60.9.7の本人署名あり)。恐らく、その辺りが本格的なデビューなのであろう。他に手元には「60.5.6」と前所有者の記入のあるこけしがある(写真②の右から2番目)。さて本稿のこけしであるが、胴底に「60.1.27」との鉛筆記入が見て取れる。寿彦さん本人の署名もあることから既に販売品になっていたものと思われる。やや四角めの頭であるが木地形態は完成されている。一方、面描は控えめではにかんだような瞳で、両横鬢も筆が手慣れていない。胴模様の二輪の正面菊も個々の花弁が一定せず、丸い形にはなっていない。ただ上の菊は縦長で下の菊は横長に見える。意識してそのように描いたのかは分からないが、福寿さんの若い頃の作品にそのようなものがあり面白い。従って寿彦こけしは昭和59年辺りが始まりと考えられ、それから60年の半ば頃までが初期作と考えられる。

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