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第233夜:「鑑賞」のこけし(佐藤丑蔵小寸)

Ushizo_syosun_s38_kao 何気なく「こけし鑑賞」のページを括っていると見覚えのあるこけしの写真が目に付いた。佐藤丑蔵のページ(152頁)に掲載されている小寸こけしである。「こけし鑑賞」は著者の鹿間時夫氏が厳選したこけしに対する自身の鑑賞を記したものであるから、そこに掲載されているこけしは厳選された超一級のものとか、戦前の稀品のようなものであり、とうてい我々の手元にあるようなものではない。今回の丑蔵小寸物は「鑑賞」の写真がモノクロで、折角の丑蔵の華麗なロクロ線の配色が分からないため、それをカラーで見て貰うのも良いかと思い、紹介することにした。

Ushizo_syosun_s38 手元の記録によれば、本稿のこけしは今から2年半ほど前に、東京こけし友の会の入札で入手したことになっている。胴底には「丑蔵七五」の署名があり、前所有者の「S38」という記入があることから、「鑑賞」のこけしと同手と判断した。ちなみに鑑賞には『右5寸(15.1cm)は昭和38年作、多色ろくろ模様で、眼点なく目鼻は中央に申訳のように描かれているのが、可憐きわまりなく、愛すべき小品である。友の会例会頒布でもこの小品は人気の的となった。』とある。この小寸こけしについては、鹿間氏のこの説明で、もう言い尽くされていると言って良いであろう。それにしても、このようなこけしが例会で普通に頒布されていた昭和30年代の何と素晴らしいことか。それから40年以上も経過して、再び友の会の例会に現れた丑蔵こけしは、何を思ったであろうか? 今の我々は入札などでかろうじて、これらの作品に触れられるのみである。

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