第230夜:津軽こけしの源流を求めて(恵介9)
今や星の数に迫る勢いでブログやHP(ホームページ)が増えているご時世であるが、その中でこけしに関するものは指の数にも満たない程である。私も機会ある毎に覗いているが、最近はどこもあまり更新されていないようである。かって熱い激論が交わされていた「こけし談話室」の訪問ノートにも新しい書き込みはないようだ。こけし自体が衰退の道を辿っているのは事実であり、こけし愛好家・蒐集家はそれに対して相当の危機感を持っているのだろうが、結局のところどうしようもなく、その流れに押し流されているのが実態だろう。最近はブログも無料で、しかも簡単に作れるようになったので、もっと多くのこけし愛好家・蒐集家がネットを通じて、こけしに関する話題を提供して貰いたいものだと思っている。さて、今夜は奥瀬恵介さんのこけしである。
前回に引き続いて瀬恵介さんの初期盛秀型鯨目のこけしを取り上げてみたい。「原」こけしは酒井利治蔵の5寸9分(酒井氏の著書「木這子との邂逅(かいごう)」のNo247)。頭は小さく均整のとれたスラっとした形態。胴模様は赤、緑、紫のロクロ線に渦巻き模様を配したシンプルなもの。鯨目の表情はグロ味はそれほどないが視線は鋭い。写真(2)右は恵介さんの7寸で、No418<04.8.2>である。胴に比べて頭がやや大きく、面描もおおらかに描いており、異様に大きな赤い口と相まって、原こけしよりもグロ味は強い。写真(2)左は鉄則さんの同型のこけし。S60年の作で大きさは原寸。「原」と比べると、胴の括れは少なく直胴に近い。「原」こけしの鯨目は、向って左目は上瞼の目尻が上に跳ねているが、右目の上瞼の眼尻は下瞼にかぶさって跳ねてはいない。この点は恵介さんの方が「原」に忠実に再現しており、鉄則さんの鯨目は両上瞼とも目尻が上に跳ねている。鉄則さんの場合は「原」をそのまま写すのではなく、それを一旦自身の中で受け止めて、それを自分の解釈の元に再現していると言えるのだろう。
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