第247夜:佐藤雅雄のこけし
オークションは18年作が先に締め切りに近ずいていた。最高値は最近精力的に古品を集めているA氏。間際の入札からマッチレースの様相を呈していた。互いに最高値を更新すること数回で、2本目のこけしの締切時間が近ずいてきた。結局、1本目はA氏が落札することとなり、私は2本目に目標を切り替えた。この2本目は雅雄だろうとは思っていたが確信が持てず、「こけし辞典」を見てみると、何と同一のこけしが写真に載っているではないか。当時は鹿間氏の蔵品で昭和15年10月作とある。出品こけしの胴底の写真を見ると、どうやら「陸奥売店」のゴム印が押してあるようにも見える。このことから、私は2本目の方により気持ちが動いていた。ところが、2本目の締切間際にA氏がこちらにも参戦してきた。またもやマッチレースかと思われたが、A氏は1本目を落札していたせいか、こちらには深入りせず、私が落札出来たのである。
佐藤雅雄は弥治郎の名門佐藤勘内の長男で明治38年の生まれ。大正7年、高等小学校卒業と同時に木地修業に入った。こけしは正末昭初より昭和10年代まで相当数作ったとされる。父勘内の伝承であるが筆致太く甘美で特殊な情味があると「こけし辞典」では評されている。
本稿のこけしの一番の特徴は保存が極美であるということであろう。今から70年近くも前のこけしなのに、今作ったばかりかと思えるくらいに色彩は瑞々しい。紫に明るい緑にピンクを使っており現代風のパステルカラーである。胴の下地には黄色を塗っている。「こけし手帖」の平成18年4月号の例会ギャラリーでは「保存の良いこけし」として、佐藤雅雄の小寸こけしが紹介されている。これは単なる偶然なのか興味のあるところである。もう1つの特徴は胴の背中に大きな旭菊が描かれていることである。大胆な筆使いでさらっと描いている。前面の緻密な重ね菊とは対照的である。華麗な胴模様は目いっぱいおめかしをした童女を思わせるが、表情はあくまで可憐である。
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コメント
高くなっちゃいましたね。
途中で電話で談合でもすればよかったかも(笑)。
投稿: A | 2009年2月 4日 (水) 13時49分
恐縮です。安いに越したことはないですからね。
でも、欲しい時はどうしようもないですね。
どうぞ、お手柔らかに!
投稿: 筆者 | 2009年2月 4日 (水) 22時10分