第256夜:ヤフオクの古品(大沼岩蔵)
鳴子系の大沼岩蔵は明治9年の生まれ、木地挽きは明治21年から父甚三郎について二人挽きを学んだというが、こけしなどの小物類は叔父の岩太郎に習っている。明治24年には一人挽きを初めている。こけしは昭和13年の復活以降の作のみで、それ以前の作は確認されていない。復活当初の作は古鳴子の特徴を備え、簡素な中にも風格のある作品である。その後、年を追うごとに技巧を凝らし、木地では肩にウテラカシを入れ、胴には紫を多用した華麗で複雑な模様を描くようになる。
本作は胴底に「大沼岩蔵 中山平」の書き込みと「17.10.18」の印が押されている。これから昭和17年頃の作と推測される。大きさは8寸。面描は前髪と眉の位置は合っているが目は左に寄って描かれ、その目の合わせて鼻・口が描かれている。いわゆるアンバランスな配置なのであるが、そんなことを感じさせない構成力は岩蔵ならではと言えるだろう。胴模様は3輪の桔梗を3段に描いているが、中段の紫桔梗が殆ど消えてしまっている。結果として、胴模様としては間延びしてしまっているが、赤色だけが残って古風さのあるこけしとなっている。
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