第259夜:ヤフオクの古品(秋山慶一郎)
蔵王系の秋山慶一郎は明治23年に鳴子で生まれた。明治39年から兄の忠について木地を習った。その後、上の山から蔵王高湯に移り、大正5年から3年間、木地屋代助の職人をした。その後も各地を転々とした後、昭和6年からは鶴岡に落ち着いた。慶一郎のこけしは昭和11年に石井真之助氏が紹介したものが最初で、それ以前のものは明確に確認されていない。昭和11年の作はボリューム感に溢れた迫力のあるこけしである。その後も戦後まで完成度の高いこけしを作った。
さて本稿のこけしであるが、大きさは6寸9分であるが胴が相当長くスマートなこけしとなっている。「こけしの世界」掲載の<361>(S13.6)とほぼ同じである。「こけし辞典」掲載の昭和15年作とは胴模様の様式が明らかに異なるので、本こけしは昭和13年から14年頃の作と推測される。面描は両目の間隔が開きおおらかで気品のある表情である。昭和16年以降になると両目の中央に寄ってちまちました表情となる。もう一つ特徴的なのは胴の重ね菊模様である。赤い花弁は上下に赤点を打ち、その間に左右から花弁を描いているが、中央に大きな空間が出来て菱菊のようにも見える。これまたゆったりとした大胆な描彩で、後年の緻密な重ね菊とは異なる。胴下部の鉋溝の下には赤点を2つ打っただけで花弁は描いていない。今回の入手こけしの中でも1,2を争う優品と思う。
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