第262夜:ヤフオクの古品(阿部新次郎)
最近、ネットオークションを見ていると、戦前の古品でも保存極美のこけしを目にすることがある。それらを見ていると古品=飴色と言う概念は崩れ、やはりその色彩の豊かさに見入ってしまう。そこには現在の技術をもってしても再現できない色が出ているからだ。そういうものを見るとやはり欲しいなあとは思う。でもオークションでは当然高価になり、こけしブームの頃に比べれば安くなったとは言っても、そうやたらに入手出来るものではない。私が最近纏めて入手した古品こけしは所謂飴色のもの(というか、殆ど色が消失しているものも多い)。そういうものでも面描は残っているため表情は確認できる。今まで持っていなかったために、そのこけし(工人)に対しては殆ど知らなかったことを改めて勉強する良い機会にはなったと思う。さて、今夜は阿部新次郎を取り上げてみたい。
土湯系の阿部新次郎は明治26年の生まれ、阿部熊治郎の3男で阿部治助の弟にあたる。明治40年頃より父熊治郎について木地修業に入る。新次郎のこけしは「こけし這子の話」にも掲載されており、大正期と思われるこけしが存在する。その後昭和初期までの作品の評価が高い。昭和15,6年頃の作品は多く残っている。戦後の昭和22年から25年頃にも作っている。昭和32年9月13日没。65歳。
本稿のこけしは大きさ6寸1分。頬もふっくらとしており、「らっこコレクション図譜」の<61>とほぼ同趣であり昭和15年前後の作と思われる。胴底は鋸の切りっ放し、胴模様は4本の太い赤ロクロ線と3段目に小さな花模様の痕跡を残すのみ。それでも表情には気品があり、十分に見られるこけしではある。
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