第265夜:ヤフオクの古品(木村吉太郎)
蔵王系の木村吉太郎は明治29年の生まれ。明治45年に17歳で荒井金七の弟子となり22歳まで木地修業を行う。こけしはこの頃から作ったとされる。そんお製作期間は大正初期から昭和41年まで長期に渡る。文献上では「こけしの美」<163図>が大正中期で最古のものとされる。
さて、本稿のこけしであるが、胴底には「上ノ山 木村吉太郎 41 作」との記述がある。この「41」が何を意味するのかは良く分からないが、年齢だとすると41歳ということで昭和12年。1941年だとすると昭和16年ということになる。こけしの作風からすると昭和12年とは考え難い。木地形態では頭が縦長で胴は太めで肩が張っている。頭頂部は手描きで蛇の目模様にはなっていない。眼点は小さく表情は鋭い。また横鬢は内側が短く外側が長い2段描きになっている。胴模様の牡丹の莟は本花のやや斜め上に描かれている。このような特徴から「木の花(第弐拾四号)」の吉太郎こけしを眺めてみると<21>の植木蔵尺4寸が近いように思われる。この<21>は昭和18年頃の作とされているが、本作は蛇の目がないことからそれよりやや古く、昭和16~17年頃の作ではないかと推測される。
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