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第282夜:ヤフオクの古品(佐藤好秋)

Yoshiaki_kyu_kao ヤフオクの古品で入手したこけしの中に誰の作か良く分からないものがあった。胴底には鉛筆書きで薄く「渡辺求」と書いた形跡があり、その上からやはり鉛筆書きで「友晴」とある。しかし、その形態、描彩(特に頭部)から、とても友晴とは思えず、やはり弥治郎系の渡辺求ではないかと思っていた。しかし、よくよく見ると胴模様など、求作とは異質な感じを受ける。そんな折、知人から遠刈田系の佐藤好秋ではないかと聞かされた。頭部の描彩など明らかに弥治郎系であり、遠刈田系の好秋が何故こんなこけしをという疑問が残ったまま、時間が過ぎていった。

佐藤好秋かという話を聞いてから、好秋のことを調べて見た。好秋は明治39年の生まれ、直助と共に遠刈田系の双璧と呼ばれた松之進の次男である。大正8年から松之進について木地修行を始め、大正12年、蔵王高湯で職人をしていた時に初めてこけしの描彩をしたとある。そこで好秋の古いこけしを文献で調べて見たが、本品のようなこけしは見当たらない。ただ、胴模様の重ね菊が右上がり気味に斜めに描かれる点に類似点が見出され、他の工人の重ね菊にそのような描法が見られないことから好秋の可能性は残った。ちなみに友晴は好秋の弟であり、底書きの友晴は好秋の間違いともとれる。

Yoshiaki_kyu_hikaku これまで、遠刈田系ばかりを調べてきたが、視点を変える意味で「こけし辞典」の渡辺求の項を読んでみた。何とそこには、このこけしの素性がはっきりと書かれていたのである。以下に引用する。『昭和16、7年ごろ岩代熱海駅前の花屋土産物店で売り出された求こけしは、遠刈田の佐藤好秋の代作のものがあり、<鴻・14>でその鑑別法を説明している。寸法の割りに細い胴、7寸ものでも作りつけで一重目などのこけしには注意を要する』と。本品は大きさ7寸、作り付けで細身の胴、一重瞼と、まさにこの記述に合致する。どうして好秋が求の代作を作ったのかは分からないが、このこけしが好秋のこけしであることは証明されたのである。写真(2)の左は求作(昭和30年代)で右が本品(昭和16,7年)、製作年代に差はあるものの、よく見ればその判別は容易と思われる。

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