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第290夜:誠の梅吉型(1)

Makoto_umekiti_s36_kao_2 南部系は工人数が少ないこともあって取り上げる機会が殆どない。私は南部系の藤井梅吉のこけしに興味があり、梅吉型のこけしもかなり集めてきた。梅吉の血縁や子弟関係のある継承者はいないが、佐藤誠と高橋金三が梅吉型を作っている。しかしいずれも故人となってしまい、現在はまた継承者がいない状況となってしまった。今夜は、誠の梅吉型の内、初期のものを見てみたい。

佐藤誠は明治34年の生れ。明治42年に小倉嘉三郎の弟子となって12歳頃より木地修業を始めた。れっきとした弥治郎系の工人である。大正13年に仙台に出てから昭和2年に平市で開業。花巻市に移ったのは昭和33年で、それ以降に梅吉型を作り始めたとのことである。梅吉型は誠の余技のようなものであったから文献等での紹介も少ない。33年作の梅吉型が「こけしの世界」に載っているが胴太く、本稿写真(2)の左のこけしに近い。

Makoto_umekiti_s36_hikaku さて、本稿のこけしであるが、左端は「61.3.2」の書き込みがあり、昭和36年以前の作と思われる。「こけしの世界」の掲載品とは木地形態は殆ど変わらないが、本品の方が頭の形がやや丸くなっているようだ。頭頂部の描彩は「こけしの世界」は手描きとなっているが本品は黒のロクロ帯。長い横鬢が印象的で顔の面積は狭い。真ん中のこけしは30年代の末頃であろうか、胴は細くなり頭も縦に伸びてきた。横鬢は相変わらず細く長いが、やや外側に描かれるようになって顔の面積は広くなった。そのため眉目、鼻、口も大振りに描かれている。頭のロクロ帯には前髪は無く、口は墨と紅の二筆で描かれている。右端も同時期の梅吉型えじこ。愛らしい表情である。これらのこけしの胴底には「藤井梅吉型 佐藤誠作」と署名している。

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