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第296夜:原作と写し(佐藤喜一②)

Kiichi_s36_kao 私の持っている喜一こけしは昨夜紹介した昭和15年頃のもの1本であったが、数年前に東京こけし友の会の入札でこれとは作風の異なるこけしが出品された。大きさは同じ7寸で保存状態も良い。比較するのにちょうど良いと思って入札に参加し運良く入手することが出来た。こちらの喜一も昨夜の喜一同様、2年前に吉紀さんの所に持ち込み、写しを依頼していた。今回、こちらの喜一も写しを作ってくれたので、今夜はそれを紹介しよう。

Kiichi_s36_hikaku 今夜の喜一は胴裏に「飯坂温泉 喜一」の署名があり、胴底には「36.9.13」の書き込みがある。文献によれば喜一は昭和35年頃より製作数が減って入手難になったとあり、このこけしはそんな頃の作と思われる。頭の形は頬がこけたようになり頭頂部のベレー状のロクロ線も下がってきている。そのため顔の描彩も下方になり、やや下目の表情である。横鬢は小さくなって内側に寄り、顔の面積が小さくなった。胴は裾部のくびれが大きくなり、肩下の赤い部分は胴の中央近くまで下がって大きな面積を占めている。胴模様上部の菊花は線が細く、下部のあやめ模様は花弁が垂れている。このこけしでは眼点を下瞼から半円形にやや大きく描いており、潤んだような瞳が艶めかしい。

このこけしの吉紀さんによる写しも紹介しよう。頬のこけた頭の形、裾が大きく窄まった胴形など、木地形態は原の特徴をよく捉えている。但し、顔の表情はかなり違って見える。一番の違いは眼点の入れ方であろう。吉紀さんは眼点を小さな点状に横から打ち込んでいる。このために鋭い表情になっており、原の持つ情緒的な趣は感じられない。原の雰囲気の再現という点から見れば、昨夜の戦前作の写しの方がより近いと言えるだろう。

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