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第292夜:善二の初期幸兵衛型

Zenji_syoki_kobei_kao 佐藤善二さんの幸兵衛型については、「美と系譜」のこけしと題して第61夜と62夜で紹介した。善二さんの幸兵衛型が脚光を浴びるようになったのは、これらの写しを作ってからであるが、それ以前にも幸兵衛型を作っていた。「こけし」(三彩社)や「こけしガイド(第3版)」には善二さんの幸兵衛型とおぼしきこけしが載っているが、あまり見かけない作風のもので本格的な写しを作る以前の作と思われる。これとほぼ同様のものを持っていたが保存状態がとても悪く、何とか状態の良いものを探していた。先週、ようやくヤフオクで入手することが出来たので、今夜はそれを紹介したい。

Zenji_syoki_kobei 「こけしガイド(第3版)」は昭和37年8月の発行であるから、掲載されているこけしは当然それ以前の作ということになる。さて本稿のこけし(6寸)であるが、胴底の署名は「温湯 幸兵エ型 佐藤善二」で、別に鉛筆書きで「36.4」との記入がある。これは入手者の書き込みと思われ、このこけしは昭和36年4月以前の作と考えられる。前述の写しは昭和37年1月なので、このこけしはそれ以前の幸兵衛型と言うことができる。「こけし」も「こけしガイド」もモノクロ写真なので色彩が分からなかったが、今回胴のロクロ線と葉っぱは紫色ということが分かった。このこけしは木地形態が37年以降のものと殆ど変らないことから、「原」は「こけしの美(原色版)」の米浪蔵品と推測されるが、胴模様には色彩も含めて違いが見られる。この時点では現物は見ておらず写真か何かを参考にして作られたのかも知れない。目の描彩など表情は善二さんの本人型に近く幸兵衛の情味とは異なるが、素直な初々しさには好感が持てる。胴模様の牡丹は花芯が多数の黒点となっており、かなり複雑な描法である。

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