第295夜:原作と写し(佐藤喜一①)
弥治郎系の佐藤喜一は明治27年の生まれ、父親である栄治について木地修業をし、明治42年(16歳)の頃からこけしを作り始めたという。戦前から戦後にかけて製作を行ったが、昭和35年頃より製作数が減って入手難のこけしになった。さて本稿のこけし(写真②の右)は丸みを帯びた頭、胴裾はくびれが少なく直線的、横鬢は左右に離れて顔の面積が広く、眉目も左右に開いている。また胴上部の赤いロクロ帯は大きくなく、胴模様も上部の花は筆が太く、下部のあやめも花弁が垂れ下がっていないことから、戦前の昭和15年前後の作と思われる。均整のとれた形態に筆太でぼってり描いた胴模様が実に良くマッチしている。眉目の筆致も鋭く良く伸びている。
写真②左が吉紀さんの写し。肩の丸みが「原」よりやや大きいがほぼ忠実に写してくれた。特に眉目の描彩が素晴らしく、「原」の持つ雰囲気を十分に表している。今回「ねぎし」の企画展に合わせて作ってくれた吉紀さんに感謝である。2年間待っただけのことは十分にあったと思う。
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