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第300夜:大野栄治のこけし(2)

Eiji_s09_kao 今夜で第300夜を迎えた。まだまだ先は長いのであるが1つの区切りではある。この間アクセス数も着実に増加しており、1日辺り160を超えるところまで来ている。定期的に覗きに来て下さる方も多いようであるが、更新がそれに追いつかず申し訳ない次第である。次の目標は全体の1/3にあたる333夜である。さて今夜は、先日の「ひやね」入札会で入手した大野栄治の戦前のこけしを紹介しよう。

大野栄治のこけしについては、第248夜にて戦前末期のこけしを取り上げた。栄治のこけしに関しては、戦前/戦後の鑑別法が示されており、その目安は胴底のロクロの爪跡と前髪飾りの根元の赤点であった。248夜のこけしでは、ロクロの爪跡は戦前の様式であるが、前髪飾りの赤点もあり年代特定に疑問点もあった。

Eiji_s09_hikaku さて、本稿のこけしでは胴底に「6.10.13」の書き込みがあり、昭和6年頃の作と思われる。ロクロの爪跡はもちろん、前髪飾りの赤点もなく、戦前作の要件を満たしている。「こけし辞典」によれば、年代判別のポイントとして、梅花の花芯の様式も挙げられている。即ち、戦前作でも昭和5年から10年頃までは、花芯は赤点で描かれているが、11年以降になると黒点になると。ここで写真(2)をご覧頂きたい。右が本作で左が248夜のこけし。小さくてちょっと分かり難いが、花芯の違いが見てとれる。栄治の戦前のこけしは、弥治郎時代のものと北海道の川湯に移ってからのものがあるが、川湯時代のものは表情に生硬さがあると「辞典」では述べられている。確かに戦後28年頃の愛らしい表情とは違うが、それがいかにも北国の生娘を思わせ、惹かれてしまうのである。戦前の大野栄治のこけしが第1級のものであることに間違いはないであろう。

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