第302夜:丑蔵礼賛(6)
写真(2)の右が本稿のこけしで、左は第138夜で紹介した69歳作のこけし。本稿のこけしには73歳との署名があるので、4年程の時代差があるということになる。先ず木地形態。大きさ(高さ)は胴部、頭部とも同じであるが横幅は胴部で少し、頭部ではかなり広くなっている。その結果、胴に比べて頭が大きい遠刈田系の特徴が顕著になってきた。次に顔の描彩。目、鼻、口の位置が上がったため、眉と目の間隔が近くなった。目も遠刈田系の三日月目に近くなり、口も小さく、品のある表情である。それでも丑蔵流の味わいのある表情ではあるが、左のこけしの洒脱さには及ぶべくもない。胴模様の、上下に多数のロクロ線を配し、その間に重ね菊を描く様式は同じであるが、左のこけしと比べると、赤のロクロ線が太くなり、胴下部の紫の波線は2本の太いロクロ線に変わった。中央部の重ね菊は1輪減って2輪となり、筆の勢いも減ってやや散漫になっている。
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