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第307夜:ヤフオクの古品(後藤熊太郎)

Kumataro_s14_kao 私が後藤熊太郎のこけしを初めて見た(認識した)のは東京こけし友の会の入札こけしだったと記憶している。数年前のことだったと思う。元もと余り興味があった訳でもなかったので、珍しいこけしだなぁくらいにしか覚えていない。今回入手した古品こけしの中に、その熊太郎のこけしが入っていたので、改めて「こけし辞典」をはじめ文献を探ってみたのである。今夜はその後藤熊太郎こけしの紹介である。

Kumataro_s14_2 作並系の後藤熊太郎は明治26年の生まれ。「こけし辞典」によれば、学校卒業後は一旦家業の農業に従事し、その後、秋保長袋にあった秋保村立職工学校に入って木地修業をしたとある。従って明確な師匠は存在しないが、太田庄吉や今野新四郎に師事した可能性はあると言う。その後、仙台に移り昭和3,4年頃に高岡の福々商会の職人となった。こけしは昭和14年に桜井玩具店より頒布したものが今日残る最初で最後の作品であろうと記載されている。こけしとしては稀品に属する方で文献での紹介も少ない。写真を掲載している「こけし辞典」や「美と系譜」はいずれも昭和14年6月のもので、「辞典」は眼点大きくやや甘い表情である。

本稿のこけしは大きさ8寸で、「美と系譜」掲載品とほぼ同様の作行きであり、昭和14年の頒布品と思われる。飴色となり色彩もかなり薄くなっているが、肩の山の部分の緑線などはっきりと見て取れる。眼点はやや大きめであるが、引き締まった表情となっている。

Kumataro_tomonokai_2 ところで探してみたら友の会 の入札に出た熊太郎の写真が見つかった。大きさは8寸か、保存状態極美である。ご覧の通り、友の会の熊太郎は昭和14年の作とは作風が異なる。肩の山はあまり高くなく、頭は平頭ぎみである。両横鬢は顔のやや内側に描かれ、眉目も中央寄りで集中度が高い。表情は14年作をはるかに凌ぐ。14年よりも前の作品かも知れない。この保存状態と出来から言って、現存する熊太郎こけしのトップに挙げられると思う。入札当時に、このこけしの素晴らしさに気付かなかったわが身が口惜しい。落札され手元に置かれている方は大事にして欲しいと思う次第である。

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