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第311夜:昭和20年代のこけし

Takeot_s23_kao 昭和20年代は、伝統こけしにとっては暗黒の時代と言えるかも知れない。昭和20年に終戦を迎えたとは言え、敗戦国の日本にとって最も重要なことは衣・食・住の充足であって、一般人にこけしを買う余裕などなかったからである。従って、一部の工人を除いてこけしの製作は中断せざるを得なかった。20年代も後半になると世の中もようやく落ち着きを取り戻し玩具類を求める機運も出てきたが、そこで求められたのは新型こけしであった。そして伝統こけしが見直されるのは30年代に入ってからである。今夜は、この不遇の昭和20年代に作られたこけしを見てみたいと思う。

Takeot_s23 本稿のこけしは数年前に東京こけし友の会の入札で入手したものである。一見では高亀系のこけしと思われたが誰の作かは分からず、一目の感じからは大沼系のような印象もあった。その当時は、高橋正吾さんのこけしについて纏めており、関連する高亀系のこけしとして入手したのである。頭頂部の水引から高亀系であることはほぼ間違いなく、では誰のこけしかということになった。胴底の記載などもなく製作年代も不明であった。各種の文献をあたっている中で、植木氏の「愛こけし」の中に同様の目をしたこけしを発見した。高橋武男作で昭和23年とある。本稿のこけしと比べると頭がやや角ばっており、胴の重ね菊も小振りである。雰囲気から言って、そちらの方がやや古そう見えるので、本稿のこけしは昭和20年代の中頃かと推測される。「こけし辞典」には昭和28年のこけしが掲載されているが、それは典型的な高亀のこけしになっている。従って、この眼点の大きな表情の武男こけしは昭和20年代の前半から中頃までに作られた異色の作と言えるだろう。

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