第306夜:源吉の栄治郎型(2)
2本の違いを見るために写真(2)では並べてみた。右が本稿の栄治郎型で左が昨夜のもの。本稿の栄治郎型は大きさ8寸で、昨夜のものより小さい。胴底には七十四歳の署名があり、昭和33年の作である。丸い頭は変わらないが、胴の形態は大きく変わっているのが分かる。胴中央部から裾にかけてのくびれが大きくなり肩が張って、地蔵型を大きくして帯を締めたような形である。頭部の描彩は左のこけしと概ね同じであるが、横鬢上部にあった2筆の赤い飾りが無くなった。胴の描彩は大きく変わった。帯上の桜崩しはぼってりした花が3輪となり、空いた部分には蕾が2輪描かれている。帯下の正面菊も左では赤い花芯の周りを緑点が囲んでいるが、右では花芯が緑点に変わっている。栄治郎型には変わりないが、栄治郎の原からは完全に離れて、源吉の解釈によるこけしになっている。なお、このこけしでは「寿」の字が描かれていない。
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コメント
はじめてmailします.
私どもで、蔵王の斎藤源吉氏の生前に足踏み轆轤を使用の2尺をと、念願し、まず 頭部を5個つくり描彩をほどこし胴を未完のまま昭和39年に他界、2個は割れ残った3本に弟子の田中敦夫氏が
胴を完成させた、その田中敦夫氏も他界。
山形の小林清次郎氏が斎藤源吉氏を絶賛したこともあり、大切に
しています。
山寺にて、こけし祭りの際、東京こけし会のために自宅に展示したこともあり、今も大切に保存しております。
仙台の巳之助、寒河江の広三、も土湯の佐志馬、遠刈田の丑蔵、
温海の常吉、小野川の直志など親しくお付き合いさせて頂いた工人の方々もいまはなく感慨しとしきりです。
投稿: 山形蔵王 渡辺 | 2009年9月25日 (金) 14時34分
渡辺様
コメントありがとうございます。
源吉さんの2尺ですか。源吉さんがそんな大作に挑戦していたとは知りませんでした。この大きさになると凄い迫力でしょうね。もう今後はそのようなものは作れないでしょうから、こけし界のためにも大切に残して頂ければと祈念しております。
投稿: 筆者 | 2009年9月28日 (月) 09時46分