« 第320夜:喜平こけしのドングリ眼の秘密 | トップページ | 第322夜:「たつみ」以前の巳之助こけし »

第321夜:「たつみ」以前の昭一こけし

Syoichi_syusuke_s38_kao 先週落札したこけしに肘折系の佐藤昭一のこけしがある。佐藤巳之助、昭一父子と言えば「たつみ」の常連として数々の傑作を世に出した名工として、こけし界では知らない人は居ないほどの工人である。しかしながら、既に320夜を数える本ブログで扱うのはこれが初めてなのである。私の収集が偏っているとも言えるだろう。私とて周助型に興味がない訳ではなく各種の復元作を集めようとしたこともあった。しかし、その型の多さに辟易して断念。その内に「たつみ」の復元作には「作らされた」という感じがして一部を除いて整理をしてしまった。今回の作はその「たつみ」以前の作と思えたので入手した。

Syoichi_syusuke_s38_hikaku 肘折系の佐藤昭一は昭和10年の生まれ。佐藤巳之助の長男である。昭和33年に東北学院大学を卒業後、父について木地修業とあるから、インテリ工人のはしりと言えるだろう。こけしは38年7月より製作とある。父巳之助と共に「たつみ」による本格的な復元を始めたのは40年頃からで、それ以前の作は文献では、「こけし事典」と「東北のこけし」に見かける程度である。いずれも同型(周助型)のこけしで「東北のこけし」では38年と記載されており、初期のこけしと言ってよいだろう。

さて、本稿のこけしであるが、前述の2書に掲載されたものと同型のこけしである。大きさは尺、肩に段がある直胴で肩下に鉋溝が1本入っている。頭は縦長で、頭頂部には赤と緑のリボンが付いた周助の昭和型。胴模様は胴中央に赤と紫の帯を締め、上下に横菊を2輪ずつ描いている。花弁、葉茎とも真っ直ぐに描かれており、後年作Syoichi_syusuke_s38_bin に見られるような動きは無く、静かな模様である。特徴的なのは、前髪から垂れた横髪の末端が前方に巻かれていることである(写真③を参照)。また横髪(鬢)後方の鬢飾りも水平ではなく下に垂れている。「たつみ」による周助の復元作を調べてみたが、このこけしの「原」に相当するようなこけしは見当たらなかった。写真②の右が本稿のこけしで、左は40年代後半のこけし。比べてみて「たつみ」以降のこけしのような鋭さは見られないが、周助型でありながら静かに眺められるこけしである。強烈な周助型を見なれた目には却って新鮮に感じられるこけしではある。

|

« 第320夜:喜平こけしのドングリ眼の秘密 | トップページ | 第322夜:「たつみ」以前の巳之助こけし »

肘折系」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/188678/46271518

この記事へのトラックバック一覧です: 第321夜:「たつみ」以前の昭一こけし:

« 第320夜:喜平こけしのドングリ眼の秘密 | トップページ | 第322夜:「たつみ」以前の巳之助こけし »