第318夜:文六型(大旗英雄)
緑書店発行の「伝統こけしポケットガイド」によれば、 大旗英雄は昭和9年の生まれ。昭和29年より丑蔵、文男の指導を受け同家(丑蔵庵)の職人として働いており、昭和45年より丑蔵型を作るようになったとある。「こけし辞典」には記載はない。カメイ記念展示館発行の「伝統こけし最新工人録」では作品未掲載の工人リストに載っているので今は作っていないのかも知れない。
写真②に同寸の文男文六型(左)と並べて見た。頭は文男のように縦長ではなく、縦と横の長さが同じくらいである。胴は中央部に反りがあり、やや細身である。こけしとしてのバランスは良い。文男のように丑蔵の文六型をそれほど意識することもなく、自分の感性で描いたのであろう。おおらかな表情が実に良い。文六の持ち味であるねっとりした情感はなく、自然でややユーモアを含んだ表情になっている。他の丑蔵型も見てみたい気がするこけしである。
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