« 第316夜:「遊佐」福寿の初期こけし | トップページ | 第318夜:文六型(大旗英雄) »

第317夜:文六型(文男)

Fumio_bunroku_s49_kao 先日、ヤフオクに大旗英雄の文六型が出ていた。そこで文六型について考えてみた。佐藤丑蔵はその製作期間が長かったこともあって、多種多様なこけしを作っている。丑蔵次自身は○○型などと言ってはいないが、黒頭で肩に段があるこけしは師匠の文六型と言われている。第138、302夜で紹介したこけしがそれである。文六型とは言え、その味わいは丑蔵である。この文六型は、丑蔵を継いだ文男や弟子たちにも引き継がれている。今夜は、先ず文男の文六型を見てみたいと思う。

Fumio_bunroku_s49_hikaku 遠刈田の佐藤文男は文助の弟子であるが、昭和40年代の後半から50年代にかけては父の丑蔵型こけしを精力的に作った。私も一時期、文男の丑蔵型を片っぱしから集めたが、今では殆ど整理されてしまった。数少ない残り物の中に、この文六型尺がある。微かに笑みを浮かべた表情に惹かれたのである。昭和49年(52才)の作で、この頃には丑蔵型をベースにした文男自身の型になっており、若々しく明るい表情に好感を持てた。やがて、文男の文六型に変化が出てきた。頭が縦長で目は顔の下方にあり、眉との間隔の開いた型である(写真②の左)。これは第138夜で紹介した丑蔵の文六型を意識したこけしである。54才との署名がある。蒐集家か誰かの働きかけがあったのであろう。この2本を比べてみて、左のこけしは確かに上手く描いているが作らされたという感じがしてくる。丑蔵と文男の持ち味の違いは良く言われるところだが、やはり文男自身の本来のこけしは右のこけしなのであろうと思うのである。

|

« 第316夜:「遊佐」福寿の初期こけし | トップページ | 第318夜:文六型(大旗英雄) »

遠刈田系」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 第317夜:文六型(文男):

« 第316夜:「遊佐」福寿の初期こけし | トップページ | 第318夜:文六型(大旗英雄) »