第317夜:文六型(文男)
遠刈田の佐藤文男は文助の弟子であるが、昭和40年代の後半から50年代にかけては父の丑蔵型こけしを精力的に作った。私も一時期、文男の丑蔵型を片っぱしから集めたが、今では殆ど整理されてしまった。数少ない残り物の中に、この文六型尺がある。微かに笑みを浮かべた表情に惹かれたのである。昭和49年(52才)の作で、この頃には丑蔵型をベースにした文男自身の型になっており、若々しく明るい表情に好感を持てた。やがて、文男の文六型に変化が出てきた。頭が縦長で目は顔の下方にあり、眉との間隔の開いた型である(写真②の左)。これは第138夜で紹介した丑蔵の文六型を意識したこけしである。54才との署名がある。蒐集家か誰かの働きかけがあったのであろう。この2本を比べてみて、左のこけしは確かに上手く描いているが作らされたという感じがしてくる。丑蔵と文男の持ち味の違いは良く言われるところだが、やはり文男自身の本来のこけしは右のこけしなのであろうと思うのである。
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