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第323夜:戦前の武蔵(1)

Takezo_s10_kao 今週の24日夜に締め切りを迎えたヤフオクの落札こけしが今日届いた。落札後直ぐに出品者から連絡があり、翌25日の朝に代金を振り込むと、同日に発送が行われ翌日の今日26日には手元に届くという仕組みだ。この間、メールでのやり取り、代金の振り込みは全てパソコンで出来るから、家に居ながらにして欲しいこけしが手に入るのである。全く便利になったものである。入手したのは戦前の武蔵のこけし。それ程の競り合いにもならず、まあまあの値段で落札することが出来た。

Takezo_s10_hikaku 落札した武蔵のこけしは大きさ7寸、保存状態は非常に良く、年代経過によるしっとりとした色が付いている。色彩は全く退色が無く、胴は薄く引いた黄色の上にスカーレットの赤と明るい緑が鮮やかである。大きさ、保存状態とも満足できるものである。さて、年代はいつ頃のものであろうか? このこけしでは胴模様に大きな特徴が見出せる。三段重ね菊の花弁が向かって左は立っているのに対して、右は寝ているのである。また間の添え葉も立っている。そこで「木の花(第拾八号)」の『連載覚書(十七)武蔵こけし』を見てみると次のような記述が見つかる。『この時期の特色は横菊の花弁の右が立ってきて、左がねてくることで葉も立ってくる。』 これは正に本稿のこけしと合致する。更に、表情には気品があること、スカーレットの色が鮮やかであり土が描かれていること等の特徴も一致する。製作年代は昭和10年から12年頃となる。保存状態の良さから、本稿のこけしはこの時期を代表する武蔵こけしと言って良いであろう。さて写真(2)の右が本稿のこけしであるが、状態は悪いがほぼ同時期の武蔵こけし(8寸)と正吾さんによる写しが真中と左のこけしである。真ん中と右のこけしを比べると肩の山が僅かに異なる。右は山が低いので10年に近く、真中はやや高いので12年に近いと推測することができる。

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