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第329夜:津軽の競作3(笹森淳一)

Sasamori_kasakobe_kao 昨夜まで、津軽系工人による笠幸兵衛こけしの写しを見てきた。いずれも笠幸兵衛こけしとしては初期のもので、「原」の雰囲気を十分に感じさせるこけしであった。さて今夜は笹森淳一さんの笠幸兵衛である。笹森さんがいつから幸兵衛型を作っているか定かではないが、手持ちのこけしでは平成元年に髷付き猪首の幸兵衛型を作っている。笠幸兵衛型の製作はそれよりは遅いのではないかと思われる。

Sasamori_kasakobe 平成15年の7月に産地訪問の一環として青森に行くことになり、淳一さんのお宅にもお邪魔した。その折、淳一さんには8寸の幸兵衛型を各種作ってくれるようにお願いしており、その中にこの笠幸兵衛も入っていた。淳一さんの幸兵衛型も当初は「原」に忠実に作られていたものと思われるが、この15年の時点では既に自分流にアレンジを加え、洗練された幸兵衛型こけしとなっていた。木地形態は笠の高さがやや高い程度で、胴の形態も「原」とそれ程大きくは変わっていないが描彩にはかなり違いが見られる。先ず、笠に描かれた紫の縦縞模様である。「原」では天辺の赤い突起から十字状に4本の紫の縦縞が描かれているが、本稿作では6本の縦縞となっており、その各々も1筆描きではなく3筆になっている。次に顔の表情もややつり上がり気味の鋭いものとなっている。幸兵衛の「原」の端正だがおおらかな味わいとは異なる。胴の牡丹模様も大きく、赤は周辺部をぼかし気味にグラデーションをかけて華麗なものとなっている。幸兵衛の「原」をそのまま復元したのではなく、その雰囲気を自分の中に取り込んで現代にマッチした形に昇華したのが純一さんの笠幸兵衛こけしと言えるのだろう。

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