第335夜:友の会旅行(2日目)
予め依頼しておいた「らっこコレクション」のこけしは、民族資料館の地下の特別室に並べられていた。こちらでも皆、白い手袋をはめて待望のこけし達を手に取る。写真集でしか見たことのない名品が目の前に並んでいる。とりあえず端から1本1本見ていく。なお、ここではこけし単体の写真は御法度とのこと。ネットなどで無断で使われて困るそうだ。結局、人と一緒ならというお許しが出て、皆、好みのこけしを手に持って写真に納まっていた。私は運七から始めたのだが、その眼の複雑な描法に驚いてしまった。それがあの何とも言えない独特の味わいを醸し出しているのだ。次いで作蔵。胴底には赤字で「阿阿部治助」と書いてある。治助のこけしが酷評される発端となった書き込みである。胴のロクロ線は木地に馴染んでほんわかとした感じであるが細い線で描かれた目の筆致は鋭い。胴部への嵌め込みの頭は、簡単に外れてしまう。この2本で何と30分以上も費やしてしまった。大正期の保存の良い太治郎など土湯系の充実度が凄い。遠刈田系も小原直治を筆頭に直助、松之進などの逸品揃い。静助は小寸のみで、大寸は人形館に展示されていた。
張子の三春人形を作っている「高柴デコ屋敷」に向かう。ここは本家と分家とがあるそうで、本家は幹線道路に近く大型のバスも沢山止まっていて賑わっていたが、お土産屋的な雰囲気が強い。そこから少し奥に入った分家の方は、農家のような昔ながらの大きな家の中で主人と90歳になるというお母さんが製作に勤しんでいた。江戸時代に作られたという木型に和紙を張って人形の原型を作り、それの彩色すると、達磨やお面、各種の郷土人形(三春人形)が出来上がっていく。農業で生計を立てており、その傍ら昔からの伝統を引き継いでいるという。人形制作だけでは食べていけない現状はこけしと同じである。さらには伝統芸能の「ひょっとこ踊り」も披露してくれた。最初は「おかめ」の面を被っての色っぽい踊り、途中で「ひょっとこ」の面に変えて、今度はダイナミックな踊り。面を被ると自然に身体が動いてしまうという。この面もここで作ったもので買うことができる。団体客が来ると賑やかになるが普段は静かでゆっくりとした時間が流れているような感じがした。
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