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第339夜:岸正男の古いこけし

Kmasao_s20_kao 東京こけし友の会の旅行は11/7、8の2日間であったが、ちょうど対象期間中であった「大人の休日倶楽部」の乗り放題切符の期限があと1日あったので、9日は休みを貰い鳴子を回って来た。8日は米沢泊まりだったので、山形新幹線で一番早く出ても鳴子着は11時。それから大沼秀雄さん、高橋正吾さん、柿澤是隆さんと回って、最後に岸正規さんを訪ねた。岸さんとは友の会の例会でお会いしたくらいで、じっくりとお話したことはなかった。今回は、先にネットオークションで入手した岸正男の古いこけしを見て貰うのが大きな目的でもあった。口絵写真は岸正男のこけし。

Kmasao_s20_2 柿澤是伸さんに車で送って貰い岸さんのお店を覗くと、正規さんは店頭の轆轤で杯を挽いていた。来意を告げると、仕事を切り上げて奥さんともどもお話を聞くことが出来た。正規さん、体調を崩しているとの話を聞いていたが、当日は頗る元気そうであった。持参したこけしをお見せすると正男さんのこけしに間違いないと言う。木地の形が変わっているので、秋山忠さんの木地ではと聞くと、そうではないだろうとのこと。自分(正規)が作ったものかも知れないと言う。正規さんだとすると昭和25年頃か。胴底には「鳴子 岸正男」の署名があり、この筆跡は正男さんに間違いないと奥さんも言っていた。胴模様は「高勘」の様式に似ているが、特に下部の正面菊(正規さんは丸菊と言っていた)は、最初はこのように描いており、その後菱形になったのだと言う。はっきりしたのは、描彩と署名は正男さんのもの。木地は正規さんか(?)。製作時期は昭和20年代の中頃(?)。ところで、高井氏の「東北のこけし」には昭和29年の正男さんのこけしが載ってKmasao_s20_syomei いるが、木地形態・描彩とも完全に戦後の様式となっており、本稿のこけしとの差異は著しい。そこで戦前の正男こけしの可能性を考えてみた。正規さんはきちんと資料も残しており、「こけし 記念号」という冊子を見せてくれた。昭和15年(起源2600年)に鳴子で開かれた東京こけし会の現地集会の記録である。その懇談会に出席した正男さんの言葉が載っている。「私はこけし作者ではありませんが、皆様よりせがまれて、これ迄は偽作ばかり送っておりました。今迄に作ったものは只六本しかありません。此の点御詫び申し上げます。」と。ここで言う「偽作」とは木地別人で正男描彩と考えられるので、昭和15年に時点では本人木地は6本しか作らなかったと言うことがわかる。なお、この現地の集りでは記念スタンプの押されたこけし(第26夜参照)が作られており、岸正男さんのこけしもあったのかも知れない。それが見つかれば本稿のこけしの位置づけも明確になるものと思う。戦前の正男こけしが見たいものである。

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