第337夜:旅行会での発見(1)
先ずは勘治のこけしである。明治時代に作られたことがはっきりしている勘治のこけしは今回の旅行会でも人気であり、多くの人が勘治こけしを手に持った姿を写真に収めていた。もちろん私もその一人であったのだが、その折、肩の山の上部、首に近い部分がやや盛り上がっているのに気付いた。写真②の網掛けの部分を良く見て貰いたい。一番内側(首に近い部分)の赤いロクロ線の切れ目のところである。その部分がくり抜かれていて、やや盛り上がっているのが見てとれると思う。この勘治のこけしが初めからそのように作られていたのかどうかは分からない。西田勘治が大きな写真で掲載されている「こけし」(立風書房、1975年発行)を改めて見てみると、かすかな盛り上がりが見て取れる。今回は、それが更に上に抜けてきてはっきりと分かるようになっているのである。また、緑の色も「こけし」撮影の時点よりはかなり薄くなっている。西田記念館と言う最良の場所に保管されていても、すこしずつ劣化しているのが分かるのである。なお、友の会の長老である柴田氏によれば、何らかの理由で首を直接、胴に嵌め込むことが出来なくなり、このような形で胴に繋げたのではないかとのこと。それが最初に作られた時点からだったのか、後になった手直しされたのかは分からない。日本こけし館の深澤勘治を見てみたいものである。
次は、甚四郎である。西田記念館の甚四郎は北海道洞爺湖で作られたものだと言う。正面から見る姿は写真等で良く紹介されているものであり、胴裾部の微妙なカーブに感心していたのである。そうして何気なく胴の裏を見て驚いた。そこにはびっしりと文字が「彫りこまれて」いたのである。写真③がそれであるが、色の濃淡が無いためピントも上手く合わずぼやけた写真になってしまった。かろうじて、大沼甚四郎という名前と五十才という年齢が読み取れると思う。北海道旅行に行って、実演で売っていた木彫りの熊を買った時に、足の裏に日付とか記念の言葉を彫りこんでくれたのを思い出した。いかにも北海道産のこけしなんだという実感が湧いた次第である。
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