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第353夜:たつみ前夜の巳之助こけし

Mino_taisyo_s40_kao 新年明けましておめでとうございます。本年もよろしくお願い致します。関東地方は穏やかな年明けとなった。年の初めでもあり昨年の元旦のブログを見てみた。239夜となっている。この1年で114夜を追加したことになる。今年は何とか150夜を追加して目標の半分である500夜まで行きたいものである。その後、65歳までには1001夜を完成させて、出来れば本の形にしたいと思っている。それが出来れば、こけし蒐集の集大成になると思う。さて、新春第一夜に登場するのは先日のヤフオクで入手した巳之助こけしである。

Mino_taisyo_s40 文献などを見ていて、「欲しいなぁ」と思うこけしがある。本稿のこけしもその1本である。発端は「木の花(第壱九号)」。その中の『戦後の佳作』では佐藤巳之助が取り上げられていた。1枚目の写真は顔のアップ、2枚目の写真は全身像。角張った平頭をどっしりとした胴が受け止め、上目遣いの瞳が微かに微笑んでいる。「木の花」の解説を引用しよう。『40年10月12日。巳之助より送付された尺1寸5分。前述中屋同人宅で拝見したのと同型である。頭部がやや偏平で不満な点もあるが、伸びやかな温和な表情が素晴らしい。周助の大正型を意識したのだろうが、全く異質の巳之助の代表作と考えてよかろう。胴中央の帯が全体を引締めている。』と。本稿のこけしは大きさが8寸。頭部は「木の花」掲載品ほどは極端な角型ではない。胴底に鉛筆で「昭40.8.27」の記入がある。このこけしの「原」は「こけしの美」掲載の(41)米浪蔵8寸と思われる。従って本稿の作が「原」に忠実なこけしと言うことになる。周助の「原」は目・鼻・口が中央に寄ってちまちまとした表情になっているが、巳之助のこの作は「木の花」で述べられているように明るく伸びやかな表情になっている。「たつみ」での巳之助こけしの頒布は昭和40年10月から始まるのであるが、どういう訳かこの型は当初の頒布に入っていない。「たつみ」の森さんの求めるものとは違っていたのであろうか。結局、試作品の段階で終わってしまったのかも知れない。そのためにあまり目にすることが少ないのであろう。なお、落札後送られてきた本稿のこけしは、頭の下部から胴裏面全体にかけてシミが出ていた。場所が裏だったことと黄胴であったために、また顔には及んでいないため鑑賞上は大きな差し障りはない。事前に知っていれば入札価格にも影響はあったであろう。写真だけで判断しなければならないヤフオクの危険性でもある。それがあってもなお魅了して止まない、この巳之助こけしは凄いの一言である。

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