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第356夜:親子のこけし(六郷満・仁美)

Hitomi_matu_kagami_kao 昨夜に引き続き、親子のこけしを取り上げる。今夜は遠刈田系の六郷満・仁美のこけしである。満さんは昭和40年代の末から頭角を現し、昭和50年代にかけて、土湯系の稲毛豊さんや弥治郎系の国分栄一さん、蔵王系の梅木修一さんなどと共に古作復元の旗手として活躍した。仁美さんは満さん亡き後、佐藤保裕さんと結婚してからこけし製作に携わり、父同様に松之進型のこけしを作っている。口絵は仁美さんの松之進型。

Hitomi_matu_kagami_hikaku 今回の二人のこけしの「原」は「古計志加々美」原色版に掲載されている松之進のこけしと思われる。大きさ尺3分、昭和13年作とされるもので、表情に松之進の特徴である剛直さは見られない。胴模様も中央に緑と紫の帯を締め、帯下には3段の旭菊を、帯上には襟の両脇に2段の重ね菊を描いている。華麗なこけしである。

写真(2)左は満作で尺2分。頭は角張り、面描もややおとなしめに描いているのは「原」こけしを意識してのものか。53年の作で、満さんとしては円熟味を加えた松之進型である。右が仁美作で大きさは尺。満さんのように「原」に忠実に作ったのではなく、松之進型の一つのこけしとして作ったものであろう。満作に比べて頭がやや丸く、胴も下に行くに従ってやや膨らみを持たせている。外向きに描かれた三日月目が素晴らしい。仁美さんの代表作と言って良いであろう。女性ながら木地・描彩ともしっかりとしており、遠刈田系の本格派工人として期待しているが、色々事情もあって今後のこけし製作には不安もある。

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