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第360夜:阿部正義のこけし(2)

Abemasa_nagarokuro_kao 戦後のこけしブームと言われた昭和50年代、山形系は本家筋では清蔵の息子の誠太郎・忠次郎兄弟、栄蔵の息子の孝太郎、分家筋では山形系の総帥となっていた清次郎と息子の清、弟子の阿部正義、米沢には吉太郎の孫弟子となる長谷川正司、傍流では奥山広三と息子の広志、会田栄治と稔など多士済々の工人がしのぎを削っていた。振り返って今はどうであろうか。本家筋の工人は絶え、清次郎は引退、傍流にも後継者はなく、清、正義、正司と会田栄治がかろうじてこけしを作っているに過ぎない。それだけに腕の立つ正義さんにはまだまだ頑張って貰いたいものである。

Abemasa_nagarokuro_hikaku 本稿のこけしは、長身ロクロ模様の吉太郎型である。このこけしに「原」があるかどうか分からないが、長身の吉太郎こけしとしては「こけし写譜」に掲載された都築氏蔵のこけしがある。この都築吉太郎は昭和49年に清次郎によって復元されている。写真(2)左のこけしがそれである。並べて比べてみると、本稿のこけしはそれとはやや異なることが分かる。長身ではあるが胴はやや太く、頭は胴より僅かに大きいだけで相対的には小さい。しかし、こうして見てみるとそれほど違和感は感じない。昨夜のこけしのように昭和60年代以降の吉太郎型では上下の瞼の間隔が開くとともに下の瞼が長めとなり、眼点も大きくなって乾いた鋭い表情になっているのであるが、このこけしでは下の瞼が短く、眼点も小さいために、鋭さの中にも潤いを含んだ表情となっている。ちょっとした筆の置き方の違いで表情には大きな違いが出てくるのである。やや黄色味がかった木地に濃い赤と緑の色彩が美しい。実に完成度の高いこけしである。ロクロ線の入ったこけしとして正義さんの代表作と言っても良いであろう。

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