第364夜:喜一のこけし(S14頃)
落札した喜一こけしを家に持ち帰り、所有の昭和15年頃の喜一と比べたり(写真②参照。右が本稿のこけしで左が15年作)、「木の花」や「辞典」を調べたりして製作年代を推定した。先ず、15年作と比べて胴が細みであり、相対的に頭が大きく見え、喜一らしいバランスのとれた形態となっている。胴下部の赤ロクロ線は3本で胴上部の赤いロクロ帯も大きくなく、その分中央の白地の部分が大きくなっている。胴模様の緑は殆ど退色しているが、上部の菊花は筆が太く、下部のあやめの4つの花弁も垂れていない。面描の眉目は15年作よりも筆に勢いを感じる。頭頂部のベレー帽は大きく、一番外側の黒ベレーは前頭部に比べて後頭部の方がやや太く、下がっている。このような特徴を「木の花」の解説と比べると、昭和14年作のこけしが最も近いと思われる。従って、本稿のこけしは一応14年作としておきたい。なお、木地は非常に軽くできており、「しなの木(マダ、マンダ)」と教えて頂いた。
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