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第355夜:親子のこけし(正吾と宣直)

Yoshinao_takezo_taisyo_kao こけしは元来、親子・子弟で伝承される木地玩具の一種であるから、その作られるこけしが似たものであるのは当然のことである。従って、普段普通に作られるそれらのこけしを並べてみることにはそれほど意味があるものではない。そこで、ここでは「写し」のように特別に意識して作られた親子のこけしを取り上げてみたいと思う。その第1回は鳴子の高橋正吾・宣直親子のこけしである。口絵写真は宣直さんのこけし。

昭和55年1月5日から11日まで東京の民芸店「備後屋」において、『こけし古作と写し展』が開催された。24点の古作名品とその写しを中心にした展示会で、その写しについては頒布も行われた。写しの本数は各50本(2点のみ15本)で、30本がセット品、残り20本が単品頒布であった。その中に、正末昭初といわれる武蔵のこけし(植木氏蔵)と正吾さんによるその「写し」も入っていた。この写しは非常に評判も良く、私が備後屋に着いた時には単品は売り切れていた。昭和40年代の末から正吾さんのこけしは低迷期に入り精彩を欠くこけしになっていた。そこから武蔵古作を追求し復活するのであるが、そのきっかけとなったのがこの写しなのである。

Yoshinao_takezo_taisyo_hika 写真(2)中央がその写しのこけし、左は56年1月の正吾作。当初、55年の写しは入手出来なかったので、同型のこけしを求めたのである。表情はすっかり描きなれているが、肩の山に緑のロクロ線が無い、胴上下の緑のロクロ線が1本になっている、花弁から出ている蔓が3段全てにある(原作は上下の2段のみ)など、少しずつ変化してきているのが分かる。右は宣直さんの平成13年作。正吾作は胴に黄色を塗っているが、宣直作は白胴のままである。また肩の山のロクロ線は太い赤線の内側に赤と緑のロクロ線が1本ずつ(原作は2本ずつ)となっている。蔓は原作と同じく上下の2本であるが2本とも先が垂れている(原作は上は垂れているが下は立っている)。表情は流石に原作の雰囲気を良く捉えていて秀作である。老舗「高亀」の伝統を継承・発展させと期待された宣直さんが、こけし界から離れてしまったは誠に残念の一言に尽きるのである。

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