第366夜:岩太郎のこけし(2)
前回同様、「木の花(第弐号)」の『大沼岩太郎考』から引用する。『・・・は川口貫一郎氏蔵品(5寸7分)でこけしの背面に「陸中一ノ関山ノ目産コケシバイコ、明治戊申5月○○氏蔵」と記入がある。・・・製作年代は、明治戊申(明治41年)以前である。作風は一見岩蔵に似るが「水引き手」および4弁の菊花の形式は岡崎斉の5,6寸ものにも見られ、岩太郎系列の古い手法であることがわかる。』 また、大沼新兵衛談として、岩太郎のこけしは『目は一筆で眼点がなく、眉は描く。鼻2筆、口は赤で細く描いた。肩は高くせず、エリのところにカンナで溝をつけた。6寸以下にはロクロ線を入れなかった。』 川口蔵品は、新兵衛談と特徴がよく一致している。
写真(2)の右が秀雄作の川口岩太郎で平成8年4月の友の会頒布品。秀雄さんの川口岩太郎製作については「木でこ(168号)」に記載がある。それによると、昭和52年12月28日に矢田氏が川口岩太郎を持参して鳴子に赴き、その時に3本作ったのが最初だと言う。その後、暫くの間、この岩太郎型は作られず、名古屋こけし会での頒布も平成11年になってからである。従って、本稿の岩太郎型は久し振りの作と言える。形態的には、頬のあたりがやや細くなっている。名古屋の頒布ではその点が改良されている。左は昭寛さんの川口岩太郎型。頭の形、胴の形態など、秀雄作よりも「原」に忠実に作られている。顔の描彩も古鳴子の特徴を良く表しており秀作である。
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