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第376夜:等伯と福寿

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先週の土曜日(6日)に「長谷川等伯展」に行って来た。長谷川等伯は安土・桃山時代のみならず日本絵画史上を代表する絵師(画家)であり、没後400年を記念する画期的な回顧展であった。当日はあいにくの雨、おかげで芋を洗うような大混雑は免れて、比較的ゆっくりと絵を眺めることが出来た。国宝3点を含む、等伯の全製作期間の作品約80点が展示されており、その迫力とスケールの大きさは感動ものであった。初期の仏画は細密画で細かいところまで描きこまれており、若き日の等伯のひたむきさが伝わってくる。「利休画」を筆頭とする肖像画、「楓図壁貼付」など国宝、重文が目白押しの金壁画(大画)、「松林図屏風」を頂点とする水墨画等など、枚挙に暇が無い。その中でちょっと気になったのが水墨画の中で、恵比寿・大黒や竹林の7賢人などを描いたものである。中国の故事を題材としたこれらの作は、等伯の作品の中で中心を占めるものではないが、その画風の幅広さを見せてくれる。これらを見ていて私はふと福寿さんの晩年の作品を思い出したのである。口絵写真は福寿作七福神の布袋様。

等伯の絵画に酔いしれて帰宅し、ヤフオクを覗いてみると、福寿さんの七福神が出品されていた。平成10年頃、福寿さんは「ソニー頒布」の製作に忙殺されていたが、一方で、おかめ・ひょっとこ、七福神や三福神などの細工物にも挑戦していた。これらの細工物は既に戦前から作られていたものであり、その伝統を踏まえたものと言う事ができる。ヤフオクには、少し前にやはり福寿さんの七福神の入れ子が出ていた。入れ子ともなると関心を示す人も多く、私は入手することは出来なった。今回は純粋な七福神7体で、こけしではないためか競争者も多くなく私が入手することが出来たのである。

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写真(2)は左から、恵比寿、大黒、弁天、布袋、毘沙門天、福禄寿、寿老人の7体。いずれも椿材を用い、木目を生かして綺麗に磨きあげられている。最近では、こけしにも椿や地梨を用いてこのような味わいのものを作っている工人も居るが、福寿さんははっきりと作り分けていたと思う。当時私は毎年のように福寿さんを訪ねており、山の工房にはこのような細工物も並んでいたが入手するには至らなかった。まだまだ、純粋なこけしに対する想いが強く、それらまで手が回らなかったのである。今改めて、これらの作品を見ると、その出来栄えの良さに驚かされる。60を超えてなお制作意欲は旺盛であり、こけしのみならず、種々の細工ものを手掛けていたのが分かる。福寿さんが存命であれば今年で傘寿を迎えたことになる。その間にどんなものを作りだしたであろうか。今回の等伯展は、福寿さんのこれらの細工物の作品群にも目を向ける契機となったことは疑いもない。

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コメント

そうですか。等伯展を見た後、福寿さんの七福神を入手されたのですか。よかったですね。私も等伯展を見に行く予定でいましたが、まさかオークションに福寿さんの七福神が出ていたとは知りませんでした。こけしも良いですが、この様な作品も良いですね。

投稿: 木童舎 | 2010年3月13日 (土) 16時46分

等伯展はほんと良かったですよ。あの画風の広がりは凄いの一言です。福寿さんの七福神はラッキーでした。金額も程々でしたし。等伯と比べるなんて無茶ですが、福寿さんも幅広く色々なものを作っていましたから。こけし以外のものも楽しいですね。

投稿: 国恵志堂 | 2010年3月13日 (土) 20時48分

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