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第379夜:横山水城のこけし

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良いこけしなのにあまり人気がないこけしもある。弥治郎系の新山系列のこけしも、どちらかと言うとその部類に入ると言えるだろう。久治郎から久治とその兄弟(福太郎、左内)、そしてそれぞれの子供へと伝承されてきた新山系列のこけしも、それぞれに後継者は居るものの最近はパッとしない。この連休でこけしを整理していて、横山水城さんのこけしが目に止まった。今夜はそのこけしを取り上げてみたい。

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弥治郎系の横山水城(水樹)は昭和21年の生まれ。我々団塊の世代の直ぐ前の世代である。新山久城の弟子となり昭和57年より木地修行を始め、こけしは59年11月より作っている。写真(2)の左2本のこけしは昭和60年11月に「たつみ」で購入したもので久治古型とのコメントがある。「たつみ」の依頼で作ったっものなのであろうか。胴底には署名の他に「いいで」と記入されている。中央8寸5分、久治型にしては頭はそれほど大きくはない平頭になっており、均整がとれている。胴は直胴で肩が張り、裾部にかけて直線的に広がっている。首のところには紫の襟巻がありそこから肩の部分にかけて細い紫線が引かれている。目は顔の中央よりやや下に描かれて眉との間隔が開いているが、瞼の描線は鋭角的で瞳には力があり、若々しく鋭い表情になっている。左のくびれ胴のぺっけも同趣のこけし。右の直胴は後日中古で買ったもので、胴底には署名と同筆で「60.10」の記入があるが「いいで」とは書かれていない。小寸のため首に襟巻はないが、肩の部分には中央のこけしと同様に細い紫のロクロ線が引かれている。目の位置は左2本よりは上がっている。この60年の水城こけしは、簡素な新山系列の様式を瑞々しく表現しており、弥治郎系のすっきりとした美しさを見せてくれる。このブログを書き終わった後で「木の花(第壱四号)」を見ていると『ピーク期のこけし(一)』の①に昭和29年作の久治のこけしが2本(8寸、5寸)掲載されているのを見つけた。形態・描彩の特徴から、本稿左2本のこけしは、この①の2本のこけしを参考にして作ったのではないかと思うようになった。大きさにちょっと違いがあることから原品を実際に見て作ったのではないだろう。久治ピーク期の円熟したこけしとの味の違いは歴然としているが、やはり良いこけしを参考にして作っただけに、水城こけしとしても水準以上のものが出来たと言えるだろう。

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