第390夜:治助のこけし
土湯系の阿部治助は明治18年の生まれ。阿部熊治郎の長男で新次郎は弟に当たる。明治30年頃から父熊治郎について木地修業をはじめたが、昭和14,5年までは木地挽きと石工を兼業していた。こけしは正末昭初のものから残っている。治助のこけしは昭和10年前後を境にして「前期」(大正末~昭和7年頃)と「後期」(昭和12年~17年)に分けられる。写真(2)に示した本稿のこけしは坊主7寸(左)、太子型4寸8分(右)とも、胴底のシールに「十六.八.五 土湯 阿部治助」の書き込みがある。治助のこけしとしては晩年のものであり、坊主はおとなしく優しい表情になっている。太子型の方はやや大きめの目でやんちゃ坊主のような雰囲気を出している。写真では良く分からなかったが、胴には赤と黒のほか黄緑のロクロ線が引かれている。太子型は均整のとれた形態で、肩の部分に段があり、また胴中央よりやや下に帯状の突起がある。
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