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第404夜:珍しい角四郎こけし

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5月12日のヤフオクには少なからず興奮した。昭和30年代の保存極美の優品が一斉に締め切りを迎えたからである。【横浜古物】からは、角四郎、文吉、虎吉、慶一郎などが、他の出品者からは戦前の友晴などが出品されていた。文吉はちょっと高くなり過ぎたし、慶一郎は同種の8寸を持っており、虎吉もどうしてもという程ではなかった。結局、競り合ってまでして入手したのは角四郎である。角四郎の優品を1本も持っていなかったのとその胴模様に興味を引かれたからである。口絵写真は角四郎の顔アップ。

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蔵王系の石沢角四郎は明治27年の生まれ、13歳で斎藤松治の弟子となり、その後は源吉の指導を受ける。大正4年(22歳)に年期が明けた後、大正7年に釈迦堂に戻って開業した。こけしは蔵王時代から作ったと思われるが、昭和15年以降のものしか確認されていない。角四郎こけしに関する評価を「こけし辞典」で拾ってみると、『<ガイド>掲載の昭和33年ごろの作品は、表情も弱く特色の少ないこけしであったが、かえって、昭和41年ごろの晩年になってから、いぶし銀のような美しさが出てきた。角四郎こけしの本来は華麗の中にある洗練された重厚さ、ひなぶりにある。』と。

そこで、本稿のこけしを見てみよう。大きさは尺3分、蔵王系らしく胴が太く重量感に富んだこけしである。胴底には署名と一緒に六十八才と年齢も書かれており昭和37年頃の作と思われる。面描は三日月目の描線が細く、遠くから見ると小さい眼点だけが鋭く光る。一方で黒頭の頭頂部は黄、緑、赤、緑のロクロ線が弥治郎系のベレー帽のように色鮮やかに描かれている。そして胴模様である。黄色く塗られた胴一面に、真っ赤な花が4輪大きく描かれており、そのインパクトは大きい。この花模様、当初は蔵王系特有の桜崩しを大きく描いたものかと思っていたが、それにしては花弁が多過ぎる。旭菊を横に寝かせたようにも見える。他にこのような模様は見たことがない。「愛こけし」125頁に昭和38年の角四郎こけしが載っている。瞼の見えない極細の描線は本稿作と同様である。そのこけしの胴模様も蔵王系としては珍しく、鳴子風の重ね菊の下にあやめを描いている。理由は分からないが、30年代の後半のある時期、角四郎は変わった胴模様を描いていたことが伺われるのである。

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コメント

現在の作者には出せない,深さがありますね。

投稿: しょ~じ | 2010年5月17日 (月) 08時39分

胴模様、見たことのない模様です。
なんとも可愛らしいお顔、しみじみしてしまいます。

投稿: kuma | 2010年5月17日 (月) 09時31分

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