第411夜:友の会5月例会
写真(2)は例会ギャラリーの芳蔵本人型と中ノ沢の関連こけし。中央は戦前の本人型で、善吉とは違った形で中ノ沢の風土性が現れている。太い胴に大きく描かれた牡丹模様と相まって、存在感に溢れたこけしである。その向かって左は戦後の本人型。左端は善吉型。向かって右の2本は中ノ沢の他の工人のこけし。中ノ沢というと即、善吉型を思い浮かべるが、善吉型でなくても中ノ沢の風土性が見て取れる。なお、芳蔵本人型は第163夜と209夜を参照。また芳蔵善吉型は第95夜と109夜、110夜を参照されたい。
写真(3)は新品頒布こけし。左端は白石のコンクールで第2位の経済産業大臣賞を受賞した阿保六知秀さんの伊太郎型6寸。目尻のつり上がった表情が印象的。左から2番目は三春文雄さんの泰一郎型7寸。赤と紫の蝶が飛んでいるのは三春さんのアイデアであろう。3番目は、正月に頒布して好評だった大沼秀雄さんの伝・岩太郎型6.2寸。80才の高齢とは思えぬ若々しい描彩に感嘆。右端は西田記念館所蔵の佐藤栄治の写し4.4寸。木地形態、描彩とも原の雰囲気を良く出している佳品。他に渡辺通、順子夫妻の豆こけしも頒布され、好評だった。
写真(4)は入札品。左端は白畑重治7寸で昭和15年冬に工人宅で直接入手したもの。その経緯はこけし手帖27号に載っている。次いで山尾武治の線前作で表情が素晴らしい。次は村井操の8寸。とぼけたような表情が津軽の風土とよくマッチしている。次いで長谷川清一の戦前作尺。保存状態も良く、表情は整っている。次は佐藤春二の皮付き6寸。皮との境目は手描きでロクロ線を描いている。右の3本は初期の盛みつお。くびれが細く、表情には若々しさが溢れている。
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コメント
芳蔵本人型。良いですね。画像からですが、谷内六郎が画く、どこか郷愁のある子供たちの表情に似ていて、観る者の心を惹きつけます。現物を観たかったです。
投稿: 木童舎 | 2010年5月24日 (月) 21時54分
芳蔵の善吉型は上手いけれど、どうしても作られたという感じが抜けない。そこへいくと本人型は自然体。そこが良いんでしょうね。芳蔵本人型はもっと評価されるべきですね。現物は本当に魅力的ですよ。
投稿: 国恵志堂 | 2010年5月24日 (月) 23時18分