第412夜:求のこけし(戦前)
本稿のこけしは大きさ尺7分。頭が小さいため、かなりの胴長こけしとなっており、木地形態は決して均整のとれたものではない。胴模様は、このころから描き始めた椿を胴下部に描き、上部には2段の遠刈田様式の重ね菊を描き、その間を黒いロクロ線の帯で締めている。やや小さめの丸い頭に、三日月目を描き、眼点は大きめで下瞼からはみ出している。明敏な表情である。首の赤い襟巻きが良いアクセントになっている。ところで第287夜に求の戦後の珍しいこけしを紹介した。その時点では、戦後直ぐの新型全盛の時代が産んだ作品と思っていたが、その後代作という指摘を頂いた。今回、この戦前の求こけしを入手できたので、改めて並べて比較してみると、その違いは明白となった。写真(2)は左から本稿作(S16)、代作(S29)、S30年代の求こけし。胴模様はかなり上手く真似ているが、重ね菊の花弁の描法や椿の花芯の位置が異なる。表情の違いは明白。特に横鬢の長さ。眉目、鼻口も、求の真作はおおらかで筆に勢いがあるが、代作はちまちましていて筆もぎこちない。このように並べて見ると、違いは一目瞭然である。
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