第415夜:双子の喜平こけし
包みを開けると、出てきた喜平こけしは思った以上に大きかった。比較するために、以前纏めて入手した古品こけしの中から喜平こけしを取り出して並べてみて驚いた。まるで双子のように瓜二つなのである。一目で同時期の作であることは分かった。もしかしたら一緒に作ったものかも知れない。この2本はそれ以来の再開だったのかも知れない。作られてから70年近くが経過して今、私の目前で並んでいる2本のこけし。1本は古色がついて色も飛び、いかにも古品という風格さえ備えている。そして、もう1本は、今作ったばかりに色も鮮やかで初々しい。それはあたかも、この2本のこけしの経歴を物語っているようだ。この2本を見ていると70年の時空を越えて、それが作られた当時の世界が蘇る。こけしコレクターにとってこれほど楽しいことはない。まさに至福の時であろう。退色した左のこけしを見ながら想像していたことを、右のこけしが語ってくれる。そう、胴上下の赤ロクロ線の間には黄色が塗られていたのだ。黄色地に描かれたあやめの赤い花びらと緑の茎葉が鮮やかで瑞々しい。
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