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第416夜:友の会旅行

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先週末(29日~30日)は東京こけし友の会の春季旅行会があり、私も参加したので今夜はその報告をしたい。今回の旅行の目的は大きく3つあり、仙台の「カメイ記念展示館」で開催されている『古作こけし名品展』の鑑賞、鳴子の「日本こけし館」に展示してある『深澤コレクション』の鑑賞、それに鳴子の工人さんとの懇親会である。古作こけし名品展も深澤コレクションも、展示されている古品こけしを手にとって自由に見ることが出来、写真もOKというのが、友の会旅行の大きなメリットである。口絵写真は鳴子の工人さんが作って呉れた旅行会参加者の胸を飾るリボンこけし(2寸)で、私のは高橋正吾さんのこけしであった。

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29日の朝10時20分に仙台駅の新幹線改札口で集合。参加者は16名。そのままカメイ記念展示館に向かう。天候は生憎の曇り空でポツポツと雨も降り出した。展示館では、オーナーの亀井氏、館長さん、学芸員さん、青葉こけし会の方の出迎えを受ける。こけしの展示コーナーで、先ずは亀井氏からお話を聞く(写真①)。それからお目当てのこけし鑑賞である。こけしは左右の壁面の飾り棚と独立した展示ボックスに収納されている。展示ボックスには、小原直治、土湯系の佐久間兄弟、肘折系の周助と運七、高橋勘治と佐藤伝内、小椋久四郎2本が展示されていた。先ずは本展の目玉と言える遠刈田系の小原直

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治のこけし。顔のアップや正面からの写真は『古作こけし名品録』に載っているので、斜め上からの写真を撮ってみたが、光の関係で色合いがうまくいかなかった(写真②)。全体に古色が付いているが退色は殆ど無く、葉の緑も良く残っている。手袋越しではあるが、触った感じは非常に滑らか。頭頂には赤と緑の大きな丸点を前後に並べて描き、刷毛で軽く掃いたような前髪と横鬢が清々しい。横鬢後ろの赤い耳、黒2筆に挟まれた紅点の口、元の開いた割れ鼻など青根の古い様式を残し、中央に寄った眉・目が格調の高さを表している。やや太く、肩の張った胴には、襟菊と呼ばれる直治独特の重ね菊を描いている。古風であり、風格があり、格調高く、正に遠刈田系こけしの頂点に位置するこけしである。同様の直治のこけしは、他にも数本残されているが、このカメイ記念展示館の直治は、その保存の良さと出来の良さから、最上位にあげられるこけしであろう。

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コメント

小原直治もすごいが,80歳になっても出来の良い小寸を作ることが出来る正吾さんの腕に驚かされます。

投稿: しょ〜じ | 2010年6月 1日 (火) 22時15分

本当に凄いです。大正生まれの松一さんは流石に無理ですが、昭二さんも2寸のリボンこけしを作って呉れました。(青葉こけし会のブログを参照)

投稿: 国恵志堂 | 2010年6月 1日 (火) 22時54分

小さなこけしも美しい可愛らしいお顔で、こけし工人さんの常人でないことを感じます。このアイデアもとてもすてきです。

投稿: kuma | 2010年6月 2日 (水) 08時07分

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