第434夜:万之丞とコウのこけし
写真(2)の左が万之丞で、右がコウのこけしである。万之丞の胴底には「三三.一.二六」の張り紙と「こけし教室」のゴム印があり、大阪こけし教室の頒布品と推測される。また、コウの胴底には「36.1.24」の張り紙と「大阪大丸、東北地方観光と物産展、¥400」のシールが貼られている。万之丞のこけしは戦後の標準的なこけしであろう。表情は目尻が下がり弱々しい印象を受けるが、その可憐さが万之丞の持ち味と言えなくもない。万之丞は昭和44年に亡くなっており、私が蒐集を始めた40年代後半には既に入手難なこけしとなっていた。桜井コウは明治30年の生まれ、万之丞を婿に迎え、自身も昭和5年に岩蔵の指導を受け描彩を始めたと言う。戦後も万之丞や職人の木地に描彩をしている。コウのこけしは頭頂に髷を描くのが特徴で、これは岩蔵からの伝承と言う。本稿のコウこけしは実に凛々しい表情をしている。昭和40年代後半でも、コウのこけしは入手出来たが、これほどの表情のこけしは見た記憶がない。表情だけ見れば、コウは男性的、万之丞は女性的と言えるだろう。
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