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第445夜:初期こけしの魅力(岸正章)

Masaaki_s59_kao

昨日今日と、鳴子の全国こけし祭りが開催された。こけし界、秋のイベントの第1弾である。知り合いの方も沢山行かれているようで、本ブログにもコメントを頂き、またメールでも状況を知らせて頂いている。鳴子にちなんで、今夜は岸正章さんの初期こけしを選んでみた。先週のヤフオクで入手したものである。岸さんは、今年の3月にお父さんの正規さんが亡くなり、正章さん自身も、今はこけし製作から少し離れている様子。正章さんの本格的な復帰を願ってとりあげてみた。

Masaaki_s59_hikaku

岸正章さんは、正規さんの長男で昭和34年の生まれ。昭和58年4月より、父について木地修業を始め、こけしは8月より作り始めたという。本稿のこけしは署名は無く、胴底に「59.5頃」との書き込みがある。正章さんの初期のこけしと言ってよいであろう。こけし工人として修業を始めると、その最初に作るこけしは、当然師匠の作るこけしを真似ることになる。最初から上手く作れる工人は希で、出来不出来があるのは当たり前で、その稚拙さとこけしに対する真剣な取り組みの気持ちが、初期こけしの魅力でもある。

写真(2)右が本稿のこけしで、左は友の会のおみやげこけし(S60.5)である。右の正章さんのこけし、頭の形も定まってなく、胴への嵌め込み部分の首も太い。鉋の切れも今ひとつで、頭はごうごつした感じである。細身の胴は中程でやや窄まり、そこから胴裾にかけて放射状に広がっている。描彩も手慣れていないのは一目瞭然。顔は頭の中央部に小さく纏まって、前髪、横鬢、眉目、鼻口の各パーツの筆致はぎこちなくて不揃いである。胴模様の菱菊は、上部の横菊は大きいが、下部の正面菊は小さく勢いがなく、茎葉も単調である。それでも、このこけしの初々しい表情には心惹かれるものがある。何のてらいもない素直な眼差しは、初期こけしだからの産物であろう。約1年後の左のこけしと比べて頂きたい。大きな頭に細めの胴、木地形態に格段の上達が見られる。面描も頭一杯に堂々と描かれている。ややきつめになった表情は祖父正男さんを彷彿させ、将来を期待させるものであった。何とか、岸家のこけしを引き継いで貰いたいものである。

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コメント

章さんにはまだまだ作り続けて欲しいです。同じ鳴子系でも、工人さんが違うと顔も表情も胴模様も違って、趣がありファンがそれぞれついています。伝統あるこけし業を継げるという喜びと共に、諸処の事情や感情もあるのでしょうが、こけしを求める側にしてみれば、章さんがこのまま作らなくなってしまうのは残念、としか言えません。

投稿: kuma | 2010年9月 6日 (月) 08時45分

鳴子の若手の工人さんで、今はこけし(木地業)から離れてしまっている人はかなりいますね。それぞれに事情はあるのでしょうが、やはりこけしだけでは生活が出来ないというのが大きい問題なのでしょうね。既に技術は習得しているので事情が許せば復帰して貰えるのでしょうが・・・。

投稿: 国恵志堂 | 2010年9月 6日 (月) 22時17分

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