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第450夜:国敏さんの治助型

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木形子洞頒布品の入札締切日であった8日、この日は特に入札に参加するつもりもなかったので、その動向を見ながら別の入札品を見ていた。その中で見つけたのが今夜紹介する阿部国敏さんの治助型のこけしである。木形子洞頒布品の入札価格が数万円から10万円を越える中、この国敏こけしは1800円で落札出来てしまった。国敏さんのこけしが人気が無い訳ではない。土湯のお店を訪ねても置いていないことが多く、また催し物に参加しても出品こけしは少なく、気に入ったものを求めるのは容易ではないのである。

Kunitoshi_tenri_jisuke

本稿のこけし、大きさは尺6分、梨材使用でずっしりと重く木目が美しい。保存完璧である。胴底に「2004.9.19 店にて」との書き込みがある。その特異な表情から、鹿間氏旧蔵の天理教時代の大寸「鹿間治助」を思い浮かべた。顔はまさに「鹿間治助」なのであるが、胴のロクロ線の間に描かれた小さな模様は植木氏蔵の大寸「植木治助」に倣っている。胴のロクロ線の配色は鹿間、植木の両治助とも僅かに異なる。従って、完全な写しでなく、天理教時代の治助こけしを元にした治助型のこけしと言うのが適切かも知れない。それにしても何と顔が長いことか。鹿間治助も顔長であるが、それより更に長い。顔上部に集中した目・鼻・口。特に鯨目は湾曲が大きく、その鋭い視線は敢然と前方を睨み付けている。総じて、頭部に関しt言えば、形態・描彩とも鹿間治助を更にデホルメしたような感じである。迫力満点のこけしであることは間違い無い。

このようなこけしが2千円に満たない価格で入手できることは有り難いことだ。一方で一部の古品こけしは数十万の値を付けている。こけしの出来にそれほどの差があるとは思えない。その価格の差は「時代」なのだと思う。今の工人がどんなに頑張っても、我々が求めている古品を作ることは出来ない。材料、工具、染料、筆など、こけしを生み出す環境は大きく変わっており、工人自身の考え方も違っている。その時代の壁は決して乗り越えられないだろう。だからこそ、我々は大金をはたいて、その過去の時代を求めて古品を入手するのだと思う。今作られているこけしであれ、古品であれ、良いこけしは良いのである。そういうこけしを探し求める収集活動に、終わりはないのであろう。

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